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とあるお宅の倉庫サイトのブログ  【最近:自分の創作におぼれている!▼】

   
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【創作】病院のおはなし
意識を失った少女と診察にあたった医師の話。
実在しない病名です。ご留意を。

---

その子は見るからに病弱そうで、ガラス細工のように些細な衝撃で壊れてしまいそうな子だった。
その子の友人から救急要請が来たのは、唐突に意識を失い応答がないその子のことを心配してのことだったようだ。
病院に向かう際にその友人に、その子に名前を呼びかけてあげてほしいと頼むと、その友人は、
「フローラ」という名前を何度も口にして、その子に懸命に呼びかけていた。
その子──フローラは、以前よりラクロス病院に幾度か姿を現していたように記憶している。
何の治療を受けていたのかは、仕事が外部での出動ばかりの俺は残念ながら知らない。
だが、そんな俺でもその姿を覚えているほどなのだから、頻度は少なくないことは容易に想像できた。
フローラを担架に乗せて彼女の友人を伴い、恐らく適任であろう治療科の医師──ラクトの元へ向かうと、
彼はフローラの顔を見て、ひとつ息を吐いた。

---

「発汗も見られず、苦しむ様子もなく、まるで眠ったように意識を失っていた。彼女の症状は何なんだ?」
「フェルマータ症候群」
「フェルマータ?」
「身体能力が著しく低下し、活動に不具合が頻発するようになると、脳が一部身体機能をわざと一時的にストップさせて身体機能の回復をはかる。それがフェルマータ症候群」
「意識を失ったというよりは、脳が身体を動かさなくなっただけということか」
「心臓や呼吸などは止まらないから、命に関わるようなことはない。が」
「が?」
「フェルマータ症候群は身体能力が著しく低下することが高い頻度で起こる者がかかる。それは普通の生活を送ることが困難ということを意味している」
「──入院か」
「フェルマータ症候群自体は体の過剰な防御本能であって、病と分類されるかどうかと言えばグレーゾーンだが。意識を失う原因である身体能力の低下を回復させなければフェルマータ症候群は治らないし、逆に言えばそこを回復させるだけでフェルマータ症候群は治る」
「体質改善を目標としたリハビリ……長いな」
「年単位で彼女の人生を拘束してしまう可能性もある。入院でなく通院、通院でなく自宅療養。出来るならそういう方向で治していきたいが……」
「その辺りは本人の判断だな。そろそろ目覚めたかもしれない、様子を見てくる」

「……」
「前々から危ないと踏んでいたが……」

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