とあるお宅の倉庫サイトのブログ 【最近:自分の創作におぼれている!▼】
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創作/文/天神様
何の変哲もない夜空を見上げ、奇麗と感じる事を特別と呼ぶならば、
今日ほど「特別」な夜は無い。
何故なら今日は、
「君の誕生日だからね」
優しい指遣いでそっと撫でた。
それだけではらりはらりと舞う色彩は美しく、
めでたい─目出度く、そしてそれ以上に愛でたい─ものだと思う。
桃色が幾重にも重ねられた紅。
月明りが透き抜けてしまいそうな純白。
はらり、散るたびにくすぐられるような香りが辺りを漂う。
目を弓張り月のようにすぅっと細め、口許の力を弛緩させて描く弧は、穏やかな微笑を形作る。
「特別な事なんてないさ」
口にするとその声は存外よく通った。
青く暗く、しかし目映いその景色には十六夜の月がよく似合う。
「あるとしても、それは特別だと思いたいだけだよ。だってほら、」
一歩後ろへ下がり、ゆったりと世界を見回すように身体と共に視線を廻らせた。
空を仰げば、月影が玲瓏と輝いている。
指で囲う円の様に少し歪に欠けた月も、
その光を妨げることの無いように控え目にちりばめられた星々も、
その輝きすら見えない欠片こそが深みを与えた夜空も、
それら全ての遠い光に応えて静かに儚く時に強く煌めく景色も、
「僕には全てが特別に見える」
全てが美しいと思った。
景色
普通が特別だと思えるようになったその日から、全てが美しいと思えるようになった。
哀しく散りゆく姿も奇麗だと、微笑んで受け止める事もきっと出来る。
執筆:20070306
修正:20070826
元3周年記念テキスト
天神様がモデルだと言ってもたぶん信じてもらえない。
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